大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)2604 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人長崎祐三の上告趣意は、末尾に添附の別紙記載のとおりである。

上告趣意第一点について。

論旨は、大審院昭和九年(れ)第五四八号同年七月一九日判決(大審院刑事判例

集一三巻九八三頁登載)を引用して、本件は背任罪を構成し、業務上横領罪に問擬

すべきものでないと主張するのであるが、所論原判決認定事実は、挙示の証拠に照

し合せば判示冒頭において被告人の金銭貸付業務関係を認定してはいるが、本件金

員の貸与は、被告人の右貸付権限外においてなされた趣旨であつて所論のように右

被告人の権限に基く貸付でないことが認め得られるのである。

しかして当裁判所昭和二三年(れ)第一四一二号同二四年三月八日第三小法廷判

決(集三巻三号二七六頁)によれば「横領罪の成立に必要な不法領得の意思とは、

他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、所有者で

なければできないような処分をする意思をいうのであつて、必ずしも占有者が自己

の利益取得を意図することを必要とするものではない。」とあるから原判決の擬律

は相当であり所論引用の判例は適切でなく論旨は採用できない。(当裁判所昭和二

五年(あ)第六九四号同二六年一月二三日第三小法廷判決参照)。

上告趣意第二点について。

所論は、原審において主張判断されない事項であり且つ記録に基かないで被告人

の私言を根拠として一審訴訟手続の違法を主張するに帰し採用の限りでない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二七年一二月二三日

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最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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